2017年6月9日に成立、2018年6月15日施行予定の「住宅宿泊事業法」(通称:民泊新法)ですが、
この「民泊新法」により、事前届出・登録を行うだけで、民泊営業が可能になります
そして、その届出の受付は、3月15日から開始となっています。

ところで、この「民泊新法」ですが、
「旅館業」と差別化するためにも、いくつかのルールが定められています。

まず、この「民泊新法」の適用対象となるものは、

既存の住宅1日単位で利用者に貸し出すもので、1年間で180日を超えない範囲内で、有償かつ反復継続するもの

 

<“既存の住宅”とは>
まず、「住宅」とあるとおり、
民泊施設として提供できるのは、家屋の建物用途が「住宅、長屋、共同住宅又は寄宿舎」となります。
つまり、台所や洗面設備がない“事務所”や“倉庫”とかはNGです。
また、「住宅」について、「住宅宿泊事業法施行規則」第二条に以下のように定義されています。

①現に人の生活の本拠として使用されている家屋
これは、誰か特定の人の“住民票上の住所”となっていることを意味します。

②入居者の募集が行われている家屋
人が居住するための募集が行われているといる必要があります。
例えば、民泊事業を行いたいからと言って、
入居者が応募したがらないような不利な条件で募集をかけている場合は、該当しません。

③随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋
つまり、①には該当しないけれど、少なくとも年1回くらいの頻度では使用している物件のことです。
例えば、季節によって使用するような別荘のような家屋、セカンドハウス、別宅等がこれに該当してきます。
居住歴のない新築物件は、該当しません。

 

<“1年間で180日を超えない範囲内”について>
180日を超える場合は、「旅館業法」の適用対象となるため、
「旅館業」の許可取得が必要となります。

 

<“有償かつ反復継続”について>
無償の場合や1回きりの場合は、対象外です。

 

以上の“住宅”を民泊として利用する場合、都道府県知事に届出を行います。

なお、当該物権が分譲マンション等である場合、
マンションの管理規約や総会・理事会決議で“民泊禁止”とされている場合は、
届出は不受理となります。

マンション管理会社でつくる「マンション管理業務協会」の行った調査によると、
会員企業(同協会の会員は365社、全国の分譲マンションの9割超の管理を担っています)が業務を受託しているマンション管理組合のうち、
8割超が民泊を禁止した、という報道もあります。

民泊については、
以前から、
・夜中にスーツケースがゴロゴロうるさい
・夜中にお酒を飲んで騒いでいてうるさい
・ごみを指定した日に出さず周辺環境が悪化している
等の地域住民からの苦情が相次いでいました。
しかし、先日の、違法民泊における殺人事件の報道も記憶に新しく、
分譲マンションの持ち主は、その資産価値が下がることを懸念し、
多くのマンションで“民泊禁止”賛成者優勢となりそうです。

 

そんな中、民泊事業よりも旅館業(簡易宿所)の許可を取得して営業した方が利回りがいいと、
早々に民泊事業から手を引いて旅館業(簡易宿所)に切り替える人が増えているといううわさもあります。

観光立国を目指す日本として、
ホテル等の宿泊施設の不足から、スポットがあてられてきた民泊ですが、
今後の動向が注目されます。